●はじめに:それは突然だった●
4/13に、ある営業電話がかかってきました。
一連の流れを時系列に表記します。
○Aという写真屋を過去二度ほど利用。最後に使ったのは去年の5/5。
↓
○息子は今までどんな細かいものにも登録したことがなく、DMも一通も来たことがない
↓
○そのAから営業電話がかかってきて、「息子さんの端午の節句の写真はどうですか」と言ってきた
↓
○妻が「息子の情報を何で知ったのか」と問いただした
↓
○Aは「過去の営業情報から」と返事
↓
○妻「最後に使った時はまだ息子はお腹の中。営業情報があるはずがない」
↓
○A「すいません。住民基本台帳を見ました」
↓
○妻「・・・・」
↓
終了
Aには去年のネガを取りに行くのですが、その時に一切のデータの削除も求めるつもりです。
しかし、Aは法に触れたことをしたわけではありません。(営業は一度嘘吐きましたが)
●誰でも見られる住基台帳●
結論から言うと、住民基本台帳法がぬるいのです。
分かりやすいように、まず日経のこちらの記事をどうぞ。
◆住民基本台帳の閲覧制限求める声・個人情報の不正利用目立つ
この記事のこの部分。
住民基本台帳法は住所、氏名、生年月日、性別の4つの個人情報について「誰でも閲覧を請求できる」と規定、商業目的でも利用できる。
住民基本台帳というのは一時話題になった住基ネットのことだけを指しているのではありません。それ以前からずっとある住民基本台帳のことを言っています。誰でも個人情報を見られると書かれています。
実際に法令を見てみます。
●住民基本台帳法
この第十一条です。
前の章に遡ったりしないといけないので、要約します。一応それと分かりやすいように引用タグを付けますが、引用ではありません。
1「誰でも、市町村に対し、氏名・生年月日・性別・住所の閲覧を請求することができる」
2「その場合請求理由を明らかにしなければならない」
3「不当な目的だと明らかになった場合は、市町村長は拒否できる」
この「不当な目的」に商業利用は含まれません。
目的を言えと言われてバカ正直に違法なことを言うわけもなく、基本的に住民基本台帳は誰でも閲覧できるということです。
●Aがしたと思われること●
住所と名字をキーにして、過去の営業データと、住基台帳から手に入れた昨年生まれた男の子のデータとマッチングしたのでしょう。
電話番号は過去の営業データから引っ張れます。名前と誕生日は住基台帳から。
すべて合法です。
気持ちは悪いですが、違法なことは一つもしてません。だから文句は言えません。
●個人情報保護法は?●
最近話題の個人情報保護法の法令はこちら。
●個人情報の保護に関する法律
第三条にある基本理念はこれ。
個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。
住民基本台帳は“慎重に取り扱われ”ているでしょうか。
全くそうは見えないですね。
一応国としての言い分はこちらになるんでしょうか。
第五条。
地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その地方公共団体の区域の特性に応じて、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
各地方でルール作れよ、ということのようです。
そもそも、民間への要求に比べて、国や自治体のルールは短いんですよね。
民間へのルール付けである第四章は9,852文字あるのに、国と自治体が関係する第二・三章なんて合わせてたった1,863文字ですよ。
●どうにかならないの?●
一応国も動いているそうですが、何か決まるのは今年の秋以降になりそうで、半年は個人情報集め放題のようです。
関連ニュースはこちらででも。→Google ニュース検索: 住民基本台帳
情報が吸い出されたとして、個人が出来ることといえば、その企業に対して文句を言うことだけです。
プライバシーマークを取得している企業なら、情報主体からデータの削除を求められたら可能な限り削除する、という規定があります。言えば原則として削除されます。出来ない場合はその理由の説明もあります。
そうでない場合、個人情報保護法では第二十六条で削除について謳われているのですが、「データの内容が事実でないという理由によって」という条件が付いているようで、気に入らないから削除というのは法的には有効でないのでしょうか。とりあえずダメ元でも一言言ってみるといいと思います。それ以外何も出来ませんので。こちらも、修正削除が出来ても出来なくても理由説明をすることと同じ二十六条に書かれています。
●実際に事件が現場で起きている●
個人情報保護法では、民間に対しては情報主体(個人)の同意のない利用目的での情報収集を禁じると明言されていますが、住民基本台帳に登録されるのに同意もせったくれもなかったですよね。
どれだけ個人が自衛したって国が垂れ流しじゃ意味がありません。
実際に住民基本台帳から吸い出した情報を元に起こった猥褻事件がこちら。→住民台帳で少女物色 強制わいせつ容疑
●国にやって欲しい簡単なこと●
電話帳のように、一般に公開するかどうかのフラグを立てて、公開するとしている人のみ公開されるようにすれば一気に解決するはず。
そもそも、目的はどうであれ、不特定多数のデータを閲覧することが出来るってのがどうかしてると思いますけど。
●ところで●
法律のことを書いている割に文章がバカっぽいのは、書いてる人がバカだからです。
もっとかっこよく分かりやすく説明出来たら是非トラックバックしてくださいませ。